※ CAUTION! ※
イギリスが大学生設定のうさぎパラレルです。
元々は別ジャンルで書いた話になります。
設定や内容がヘタ向きだったので名前と言い回しを変えてみました。
内容はほとんど変わっていません。
なので、多少不自然な点があっても見逃してください。
うさぎは成長しています。
※ エロイ描写が混ざっています。
18歳未満の方の閲覧は堅くご遠慮願います。
HONEY BUNNY 2/2
「ただいま!大丈夫か、アメリカ!?」
部屋の鍵をガチャガチャと音をたてながら慌ただしく開け、イギリスは玄関に飛び込んだ。今日の教授はやたら機嫌が良かったらしく、いつもは少し早めに切り上げる講義時間をめいっぱいまで使ってくれた。
「あーくそ、こんなに遅くなっちまった」
イギリスは玄関で腕時計を見て独りごちた。玄関先には、いつも出迎えてくれていたアメリカの姿がない。
『やっぱりまだ具合が悪いんだ、早く側に行ってやらないと……』急いで靴を脱いで一歩踏み込んだ所で、イギリスは漸く部屋に見知らぬ男がいることに気付いた。
「いぎりちゅ、おかえりっ」
「……誰?」
イギリスは声をかけてきた男を、自分の部屋にいる見知らぬ人間を見つめた。金色の髪をした人懐っこい笑みを浮かべた若い男で、身長は自分よりも高かった。その頭には何故かうさぎの耳がついていて……不自然に目立っていた。
「……」
イギリスは無言で脱いだ靴を履き、玄関ドアを開けて部屋番号と表札を確かめた。間違いなく自分の部屋だ。
イギリスはドアを閉め、再び部屋に上がり込むと、正面から男に対峙した。見上げないと合わない視線に、イギリスはムッと眉を寄せた。耳のことは抜きにしても、結構目立つ容姿なので、知り合いならばそう忘れないはずだ。
「おまえ、誰だ? 俺の部屋で何してる?」
「オレは、アメリカなんだぞ!」
「……どちらのアメリカさんですか?」
「いぎりちゅが飼ってる……うさぎのアメリカだぞ!」
「……ハァ?!」
言われてよく見てみれば男の髪の色は、うさぎのアメリカと同じ色だった。目元とか瞳の色も、似てなくは無い、かも知れないが……人とうさぎだ、根本的に違うだろう。
それでも、頭に不自然に生えているうさぎの耳の存在は気になった。
「おい、ちょっと屈んでみろよ」
「? こうかい?」
イギリスは言われるままに膝を曲げて中腰になったアメリカと名乗る男の耳を、右手で容赦なく掴んで引っ張ってみた。
「い、イタタ、痛いんだぞっ、いぎりちゅ!!」
「あ、ワリィ」
悲鳴にイギリスはパッと手を放した。耳は頭にくっついていた。触り心地も、うさぎのアメリカと同じように思えた。
でも、うさぎが人になるわけがない。
「……で、お前なんだ? 百歩譲ってうさぎのアメリカだとして、何でそんな格好になったんだ?」
「……だって、ハニーバニーだから……」
「ハァ?」
「いぎりちゅ、取説ちゃんと読んでなかったのかい?」
「取説……」
自称うさぎのアメリカに言われ、イギリスは貰った日に一度、サッと目を通しただけで放置していた取説を探した。『確かここらへんに……』イギリスは保証書や取説などを纏めて置いてある棚の一角に近寄った。
”ハニーバニー取扱説明書”それは、棚から半分落ちかけた状態でそこにあった。
イギリスはその薄い冊子を慌ただしく開いた。最初に主人の愛とハチミツで育つことが書いてあり、続いて性格や特徴、一日に必要なハチミツの量などが書いてあった。ここら辺は読んだ、覚えてる。『別に今の状況に合うことは何も書いてないじゃねーか……』と思った時、イギリスは最後のページがピッタリと重なり合っていることに気付いた。
「……」
イギリスはペリペリと剥がすように、注意深く最後のページを開いた。そこには驚くべきことが書いてあった。
『ハニーバニーは主人の愛によって人と同じ姿になれます。まず、耳と尻尾が残った人型の姿になり、さらに愛情を受けるとそれらもなくなり、まさに人と変わらぬ姿になります。人のかたちをとるまでの期間には個体差があり、また、主人との相性でも大きく異なります。相性が良い場合、最短で一週間くらいとなるでしょう』
「な、なんだよこれ……」
イギリスは現実離れした内容にクラクラしながらも、続く説明を読んだ。
『通常、男性の方にはメスのハニーバニーを、女性の方にはオスのハニーバニーをお勧めしています。同性同士の場合、人化することは極めて稀です。ハチミツを食べるうさぎの姿として飼い続けたい場合は、同性のハニーバニーを買うことをお勧め致します』
あまりの内容にイギリスはしばし固まった。脳内では今までのアメリカとの生活と、うさぎを貰った時のことを思い出していた。そういえば、あの関西弁の男の言葉に何か引っかかりを覚えたんだよな。何だったか……そうだ、『普通にうさぎとして飼える』だ。普通じゃない場合が何なのかと思ったけれども……こういうことか!
「ていうか、お前なんで人間になってんだ?!」
「え、だって……」
「ここに同性同士だと、うさぎのままだって書いてあるじゃねーか!」
「それは、わかんないけど……でも、オレ……いぎりちゅのこと大好きだし、人間になりたかったんだぞ!」
「そ、そんな! なりたいと思っただけでなれるものなのか?!」
「うーん、相性がすごく良かったんじゃないかなっ。ほら、だって人になれるのに一番早い日にちしかたってないぞ」
アメリカは嬉しそうにニコニコと笑いながら言った。見てるこっちが照れるような蕩けるように幸せそうな笑みを向けられて、イギリスは頬が熱くなるのを感じた。
『ちょっと待て俺、何照れてんだよ……』イギリスは自分の変化にツッコミを入れた。こんなことをしている場合じゃない、うさぎが人とかありえねえよ!
何とかしないと……
しかし、何とかと言ってもどうしようもない。取説にはそれ以上のことは書いていなかった。戻し方も何もない。とりあえず原因を考えてみるくらいしか……
『……はっ! もしかして……』思考を巡らしていたイギリスは、ひとつだけ原因になりそうなことを思い出した。
「なあおい、お前あれが悪かったんじゃないか?!」
「あれって、なんだい?」
「メープルシロップだよ! 最初の日にやったやつ!」
「ああ、あのハチミツみたいに甘くておいしかったやつだね」
「そうだよ、同じようなもんだからいいかと思ったけど、ハチミツ以外与えんなって取説に書いてあった! きっとアレのせいでお前おかしくなっちまったんだよ!」
「……」
うわーやべえ、どーしよう! と、頭を抱えて慌てふためくイギリスに、アメリカはしゅんと耳を垂れた。
『違うんだぞ……きっと違う』
アメリカは心の中で違うと繰り返した。アメリカが人の姿に近づけたのはイギリスが好きだからだ。イギリスがアメリカを可愛がってくれたからだ。オレがおかしくなったからじゃない。メープルシロップのせいなんかじゃないんだぞ!
「……いぎりちゅ、オレおかしくないよ? オレがこの姿になったのはメープルシロップのせいでも、いぎりちゅのせいでもないんだぞ?」
「あー? だって他に理由がないだろ?!」
「理由ならあるんだぞ! いぎりちゅが好きだからだ!」
「だーかーらーそれは……」
「違うんだぞ! だって、オレ、最初にイギリスを見た時から好きだったんだ! 夜道で出会った時から好きだったんだぞ!」
アメリカは手の平をギュッと握りしめて叫んだ。
「……メープルシロップは関係ないんだぞ、オレがおかしくなったと思わないでくれないかい? オレはオレの意思でいぎりちゅを好きになったんだ……」
俺の気持ちを否定しないでくれよ……と、アメリカはでっかい図体を、頭の上に生えてるうさぎの耳をプルプルと震えさせながら全身で訴えてきた。
「……」
必死に訴えて来るアメリカに、イギリスもこれ以上『変なものを食べておかしくなったから、間違って自分を好きになってしまったのだ』とは言えなくなってきた。
どんな形であれ、気持ちを否定されれば辛いのは、人間であろうとうさぎであろうときっと同じはずだった。
「……すまない、アメリカ」
俺が悪かったよ、とイギリスは素直に謝った。
泣き出しそうだったアメリカは、イギリスの言葉に、くしゃりと出来損ないの笑顔を返した。
イギリスが謝ることで仲直りをしたとはいえ、それはアメリカの気持ちを無視して、一方的に否定したことに対しての謝罪であって、この事態の根本的な解決には繋がらない。
うさぎのアメリカが耳付き人間のアメリカに変身してしまったことは、取説に書いてあることや今の状況から、信じ難いけれど認めるしかない。問題は、これからイギリスがこのアメリカとどう付き合っていくかということだ。
「お前、これからどうすんだ?」
「え?」
「あー、悪ぃ……ここにいるしかねえよな」
イギリスは自分の失言にバツが悪そうに頭をポリポリと掻いた。こいつはうさぎで、俺に飼われてて、他に行く所なんてないのだ。人の姿になっても……うさぎなのだ。
「……オレのこと、追い出すのかい?」
俯き、目に涙を浮かべ、震える声でアメリカは言った。
続くイギリスの言葉を、目をギュッと閉じて、耐えるように待っているアメリカに、イギリスの胸もキュッと痛んだ。
「バカ、んなことしねえよ……でもよ、急にデッカくなりやがったからな……俺だって、動揺してんだよ」
アメリカはイギリスの言葉に安堵したように瞳に溜めていた涙をぽろぽろと零した。
「オレ、ここにいていいのかい? いぎりちゅの側にいていいんだね?」
「ああ」
泣き出したアメリカに苦笑しながらイギリスは答えた。姿は変わっても、きっと懐っこくて甘えたがりのアメリカの性格は変わらないのだ。イギリスは泣いているアメリカの頭をいつものように撫でてやろうと手を伸ばした。
人の姿になったアメリカは、うさぎの姿からは思いもよらぬ程大きい。『自分よりもこんなにでっかくなるなんて……なんかムカツクな』そう思いながらも、イギリスは見慣れた金色をしている髪と触り慣れた耳を撫でた。
うさぎの時と同じようにイギリスに優しく撫でられ、アメリカはイギリスの首筋に顔を埋めるように擦り寄った。
「ありがとう、いぎりちゅ。大好きだぞ」
イギリスの首筋に顔を埋めたまま、アメリカは大きくて長い手をイギリスの背中に回した。自分よりも大きな身体のアメリカに、いつも抱きしめていたアメリカに抱きしめられて、イギリスはなんだか落ち着かなかった。
心臓が不自然にトクトク鳴った。
アメリカが耳と尻尾の生えた人間の姿になって困ったことはたくさん起きた。
まず、部屋が狭くなった。図体がデカくなった分、狭く感じられるようになったのだ。それから食事。今まではハチミツだけで良かったのだが、人と同じものが食べられるようになったらしく、イギリスと同じものを食べたがる。そのため、食費が倍以上かかるようになった。
そして、何よりイギリスを困らせたのがスキンシップだった。
人の姿をとるようになった今でも、アメリカの基本的な性質や性格は変わらない。うさぎの時と同じようにイギリスに触れてくるし、接してくる。
イギリスに触って欲しくて、頬を擦り寄せて甘えてくるし、舐めたりする。抱っこはアメリカの方が身体が大きくなってしまったせいか、されるよりもしたがる。イギリスをすぐに腕の中に入れようとする。
眠る時も……うさぎの時に一緒に寝てたこともあり、当然のようにイギリスと同じ布団に入ろうとするのに、最初はひどく焦った。さすがに一緒に眠るのは遠慮したいと思って別々に寝ようとすると、酷く寂しがってしょげた。
結局、ベッドはひとつしかなく、予備の布団もないため、イギリスとアメリカは仕方なく一緒に寝ることにしたのだけれど……イギリスはアメリカにやたらとくっつかれて困っていた。眠る時は離れていても、気がつけばいつの間にかアメリカの腕に抱き込まれているのだ。
そして、そうして抱かれて眠ることに段々慣れてきて、居心地の良さまで感じてきている自分自身に、イギリスは戸惑っていた。
アメリカが、イギリスの中にどんどん浸透して行くことに、恐れを抱いていた。自分の中に芽生え始めている気持ちの正体に気付きたくなかった。
うさぎの時にイギリスに世話をして貰って可愛がられていた分、アメリカは人間になって出来ることが増えた今、イギリスに対して出来ることは何でもしたかった。
イギリスが大学に行っている間は部屋の掃除や洗濯をした。たまに失敗をして物を壊してしまうこともあったけど、自分がいることで食費や光熱費に負担をかける分、なにかお返しがしたかった。本当は外に買い物に行って、イギリスにご飯を作ってあげたいのだけれど、耳と尻尾があるので外に出られない。耳と尻尾がなければ外でもイギリスと一緒にいられるし、イギリスのために働くことが出来る。そして、その方法は知っているのだけれど……
「あーいい湯だった、次、アメリカ入れよ」
「あ、うん」
コンビニ弁当の夕食を終え、先にお風呂に入っていたイギリスに促されて、アメリカも続いて風呂場に向かった。
風呂から出ると、イギリスは先にベッドで寝ていた。静かな寝息を立てているイギリスの眠りを妨げないように、アメリカはそっとイギリスの隣に入り込んだ。そして、腕を回してイギリスを抱き込むと、イギリスの身体がビクッと揺れた。ここ最近ずっとのことだ。
アメリカの腕に抱かれ、本当に眠ってしまうまで、イギリスは身体を強張らせながら寝た振りを続ける。腕に抱かれるのが嫌ならそういえばいいのに、そうはしない。
「ねえ、イギリス、起きてるんだろう?」
「……」
「俺にこうされるの嫌かい? 嫌なら言ってくれよ?」
訊ねながらアメリカはイギリスを抱く腕にキュッと力を込めた。
「……別に、嫌じゃない」
「そうかい? でも、緊張してる……なんでだい?」
「……」
「俺のこと、意識してるのかい? 俺が好き?」
「……ば、バッカ、何言ってんだよ!」
思いもよらぬことを言われて驚いたイギリスが、声を荒げてアメリカを振り返った。窓から差す月明かりの光でも、イギリスの頬が染まっているのが分かった。アメリカは熱を保ったイギリスの頬に、そっと自分の頬を寄せた。
「イギリス、お願いがあるんだ」
「……何だよ」
「俺、もっとイギリスの側にいたいんだ。もっとイギリスの役に立ちたい。外にいるイギリスを見てみたいし、一緒に出掛けたいんだ。その為に、耳と尻尾をなくしたい」
「……んなこと、出来んのかよ」
「うん、方法は知ってるんだぞ……でも、イギリスが協力してくれなきゃ出来ないんだ」
アメリカは腕の中のイギリスを向かい合わせになるように抱きしめ直した。照れて俯いて視線を合わせないようにしているイギリスに、アメリカはもう一度訊ねた。
「俺はイギリスが好きなんだぞ。イギリスは、俺のこと好きかい?」
「……別に、嫌いじゃねえ」
「好き?」
「……」
素直に好きと言えないイギリスにアメリカが重ねて訊くと、イギリスは顔を背けて小さくコクンと頷いた。
「ありがとう、イギリス」
アメリカは抱きしめたイギリスの照れて染まった目元にキスをした。うさぎの時にも頬を舐めたりしていたため、イギリスは人間になってからする軽いキスも、うさぎの甘え方のひとつと割り切っていたようだけれど、違う。
アメリカは、うさぎの時から愛情をこめてイギリスに触れていた。それを分かって貰える日が漸く訪れたのだと、胸を躍らせた。
アメリカは抱き寄せたイギリスの頬にキスをした。おでこや鼻先にも軽いキスを落とし、最後に唇にチュッと音をたてて触れた。
首筋や頬や手、そういった所に触れても、今まで唇には触れて来なかったアメリカが触れてきたことに、イギリスは驚いて顔を上げた。アメリカは目を大きく開けてこちらを見つめるイギリスに微笑みを乗せて言った。
「だって、口へのキスは好きな人としかしたくないだろ?」
「!」
「ずっと待ってたんだぞ」
イギリスが恥ずかしさを紛らわすために何かを言う前に、アメリカは顔を寄せてもう一度口づけた。最初に軽く触れ、それからもう少し長く。それを繰り返し、徐々にキスを深めて行く。戸惑い、キスに慣れないイギリスが、それでもアメリカに応えようとおずおずと差し出した舌を、アメリカは優しく絡めとった。
クチュクチュと音をたててキスを続ける。イギリスの目は潤み、アメリカを見つめ返す視線に色が混じる。キスで感じてしまったのか、腕の中で身を捩り、アメリカとの距離を開こうとするのをさらに抱き寄せて引き止めた。
「やっ!」
アメリカの足に触れたことで、熱を保ち、熟し始めた下半身を暴かれ、イギリスはキュッと目を閉じた。
「どうしてだい? 恥ずかしくないよ……嬉しいんだぞ」
アメリカは同じように熱を保った自身をイギリスに擦り寄せた。
「あ、やめっ…」
羞恥でさらに染まるイギリスの頬に目を細めながら、アメリカはイギリスの熱に触れた。パジャマの上から辿るように撫で、形を確かめる。それから、ゆっくりと揉みあげた。
「……ん、…っんん……」
質量を増したイギリスのそれを直に触りたくて、アメリカはイギリスの下着に手を滑り込ませた。しっとりと吸い付くようなイギリスの肌に、アメリカ自身もドクリと脈打った。
しばらくイギリス自身を手で弄んでいたけれど、やっぱり味わってみたくて、アメリカは抱きしめていたイギリスを引き上げ、ヘッドボードを背に座らせた。突然体勢を変えられ不安げに見遣るイギリスの唇に、安心させるように口づけ、パジャマと下着を下ろした。
「……バカっ、み、見んな!」
雫を垂らした下半身を晒され、イギリスは両手で隠そうとした。アメリカはその手を怯えさせないようにやんわりと掴んで退けさせると、身を屈めてイギリスのものを含んだ。
「! ……あっ、やめろ……んんっ!」
ゆったりと味わうように濡れた部分を舐められ、その艶かしい動きにイギリス自身もさらに煽られて行く。先端から滲み出るイギリスの蜜をアメリカは躊躇うことなく舐めとって行く。目に映るその光景が、イギリスをたまらなく追い立てた。ベッドボードに身を擦り寄せ、快感とアメリカから逃げ出そうとすれば、腰に腕を絡め引き戻され、より強く吸い上げられた。膨れ上がる快感を持て余し気味になったイギリスが浅い息を続ける。アメリカは腰に絡めた手を伸ばし、その胸にも触れた。
「やっ……」
ぷっくりと起ち上がった胸の飾りを押しつぶすように触りながら、口に含むイギリスの先端に舌を差し入れるようにぐっと刺激した。そして、そのまま強く吸い上げた。
「…ああ! ……っ…ん、んんっ」
ビクビクと身を震わせながらアメリカの口内にイギリスは蜜を吐き出した。アメリカは躊躇うことなくそれを飲み干した。
「! な、なにすんだよ……ばかぁ」
顔を覆い、羞恥に耐えるイギリスをなだめるようにアメリカはイギリスの胸に頭を擦り寄せた。アメリカの柔らかい髪がイギリスの胸をわさわさと撫でた。
「…んっ…あっ……」
うさぎの愛情表現であるその仕草も、達した直後のイギリスには刺激にしかならず、耐えるように肌を震わせた。アメリカはそんなイギリスの姿にさらに欲を煽られた。
胸に優しくキスをしながらイギリス自身に手を添え、形を確かめるようにゆったりと撫でた。残滓を絡めとるように愛撫し、イギリスの蜜で濡れた指をさらに奥まった箇所にそっと差し入れた。
「あっ、嫌っ……!」
初めて感じる異物感にイギリスはどうしていいか分からないというように瞳を揺らしてアメリカを見つめた。アメリカはイギリスの頬にキスをし、額をくっつけて安心させるように笑んだ。
「大丈夫だよ、イギリス」
吐息の触れる距離で目を合わせ囁かれ、イギリスの緊張が緩くなる。アメリカはその隙を逃さず、先程よりも深くイギリスの中を探った。イギリスの呼吸に合わせて、ゆっくりと抜き差しを繰り返しながら入口を広げ、受け入れてもらう準備をした。
充分に入口を解し、アメリカの指にも慣れてきたことを小さく喘ぐイギリスから読み取ると、アメリカはそっと指を引き抜いた。そして、急な喪失感にイギリスが戸惑う前に、アメリカはそこに指よりも存在感のある自身をあてがった。
今までと違う熱くて硬いものの入り込んでくる衝撃に、イギリスは唇を噛み締めて耐えようとした。アメリカはそれを阻むようにイギリスの唇を奪った。
「う……んっ…ぅ……はぁ…」
大事な部分と唇の両方をアメリカに塞がれ、イギリスは自分の内に自分でもどうしようもないくらいの、もどかしい熱が溜まるのを感じた。持て余す熱と想いの捌け口を求め、イギリスはアメリカにギュッとしがみついた。
「イギリスっ」
「…あ、あっ……!」
イギリスに求められたことで、アメリカの心により一層火が点いた。溢れんばかりの想いのままに、アメリカは激しくイギリスを穿った。イギリスの頬に手を添え、赤く潤んだ瞳を見つめながら、アメリカは深く深くイギリスの中に入り込んで、その愛の証を解き放った。
「…あっ、熱……アメ、リカっ……」
アメリカしか知らない、イギリスの最も深い場所に、アメリカの熱い想いを受け止め、その熱に促されるようにイギリスも達した。
荒い息を吐いて、呼吸を整えようとするイギリスを助けるように、アメリカはイギリスの頬や頭を優しく撫で、額に浮かぶ汗をそっと拭った。
イギリスはまだ少しぼやける視界で満ち足りた表情を浮かべ、こちらを見ているアメリカを認めた。ゆっくりと腕を伸ばし、アメリカの頭に手を添えると、その上に生えている耳をそっと撫でた。
「……これで、無くなるのか?」
「うん、明日には消えてると思うよ」
「そっか、少し残念な気もするな……こっちも?」
イギリスはアメリカの背に回していた腕を下にズラし、お尻に付いている尻尾をキュッと握った。
「あっ! そこはダメだぞ、イギリス!」
「え? ……っんん……っ!」
イギリスが尻尾を握った途端、まだイギリスの中にいたままだったアメリカの質量がグッと増した。
「あーもう、尻尾は性感帯なんだぞ」
「んな、先に言えよっ!」
「えー、そんなこと言われても……イギリス、責任とってくれよ」
「もうやだっ」
嫌だと言いつつ、再び熱を保ったアメリカに内から攻められ、イギリスの身体も徐々に熱くなっていた。それでも、意地を張って逃げようとするのを、アメリカに強引に丸め込まれ引き戻された。
結局、「もう無理」と泣きを入れるまで、イギリスは性欲の旺盛なアメリカに付き合わされた。
翌朝、目を覚ましたイギリスが目にしたのは、宣言通り、うさぎの耳と尻尾のなくなったアメリカの姿だった。うさぎのふわふわとした毛並みと、ピクピクと感情豊かに動く姿を密かに気に入っていたイギリスは、ちょっぴり残念に思った。
反対に、耳と尻尾のなくなって人間の姿を手に入れたアメリカは、上機嫌で鼻歌を歌っていた。
「ねえ、イギリス!これからデートしよう♪」
「はぁ? バカ言うな、テメェのせいで動けねえよ」
「えーそんなぁ、人間になったらイギリスと真っ先にデートするって決めてたんだぞ!」
俺の夢だったのにヒドイとごねるアメリカに、イギリスは心の底から呆れた。
「……だから、おまえのせいだっつの」
「しかたないだろ、ハニーバニーだもん」
「はぁ?」
「ハニー(恋人)バニーなんだからさ、頑張るのは当然だぞっ」
「……」
イギリスは今新たに知った事実に頭を抱えた。
夢ならどうか覚めて欲しい。
ていうか、こんな厄介なものを何も言わずに押し付けたあの男を恨んだ。
「ねーイギリス、デート!」
「あーもーウルセーしつけぇ! 明日してやるから大人しくしろ!」
「わーい、やったぞー!」
イギリスの了解を得て、上機嫌でイギリスのためのお茶を入れるアメリカの後ろ姿に、消えたはずの耳と尻尾が見えた気がした。
姿カタチが変わっても、アメリカの中身はアメリカのままで、イギリスが可愛がっていたうさぎのアメリカも、アメリカ自身なのだ。
全くとんでもない贈り物だったけれど、イギリスはアメリカに出会えて良かったと思った。
明日はアメリカの行きたい所に付き合ってやろう。
今読むとものすごく恥ずかしい。
これを某野球漫画でやっていたのかと思うと恐ろしいです;
気付いたと思いますが、人名じゃなく国名にしたのは
「いぎりちゅ!」って呼ばせたかったそれだけです。
私のこめり好きは病の域です(´・ω・`)
2010.10.01 千穂